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過去記事REMASTARD:第2回 刑事事件の隠れた主役(2013.1)
刑事弁護弁護士弁護士中井洋輔
今日は,刑事弁護活動についてです。
全ての刑事事件に対して全力で向き合ってはいますが,いい結果が出たなと思う事件とそうでない事件があるのが事実です。
その差が生まれる理由がどこにあるのだろう?と考えてみると,それは「家族」にあるのではないかと思っています。
家族が,本人のために弁護人と一緒に被害者に謝罪に行ってくれたり,被害弁償のために金策に奔走してくれたりすれば,家族の気持ちが被害者にも伝わり,その気持ちを和らげることにつながります。
また,家族が勾留中の本人に繰り返し面会し,将来の事などについて率直に語り合うことができれば,本人の再犯可能性は減少し,よりよい更生へとつながります。
「法」や「論理」は,社会正義を実現していくためのツールですが,重要なのはそのツールを使う「人」です。
そして,「人」を動かすのは,「気持ち」であり,その気持ちから出た「行動」です。
家族が,本人の事を思って行動したことにより,本人や被害者を含めたその事案にかかわる範囲の「世界」が動く。
それは,小さなものかもしれませんが,本人と弁護人だけでは絶対に生み出せない変動です。
これが最初に述べた差が生まれる理由ではないでしょうか。
その意味で,刑事事件の隠れた主役は,本人でも弁護人でもなく,本人の「家族」ではないかと思っています。
2013年1月に掲載した記事です。
今でも,「家族」が刑事事件の隠れた主役であるという思いには変わりはありません。
近年,加害者家族への支援の必要性がクローズアップされてきました。
色々な思いを抱えながら家族が犯した罪と向き合う皆さんに,少しでも支援の手を差し伸べることができればと思います。